日本公庫コラム

日本政策金融公庫総合研究所が「2016年度新規開業実態調査」より、「経営経験者の開業」を報告しました。

立場は人を育てるとはよく言いますが、努力というよりも経営って持って生まれた素質なんじゃないかと思う今日のこの頃です。うまく経営している人は、その後も次から次へと成功している、失敗している奴はなぜか繰り返し失敗しているような印象も多々受けます。もっとも失敗の経験を反省して成功につなげている方の方が実際は多いと思います。

さて、ここで起業家を分類しますと、事業を経営していたことはあるが、既にその事業をやめており、改めて起業する場合を「連続起業家」、事業を経営したことがあり、現在もその事業を続けているが、別の事業として起業する場合を「ポートフォリオ起業家」と呼んでいます。複数の株を持つことをポートフォリオと言いますから、いくつかの会社を経営することはポートフォリオ起業家(経営者)と呼ぶことができましょう。

ちなみに開業者のうち、連続起業家は8.4%、ポートフォリオ起業家は4.3%となっています。二つ合わせると経営経験者は12.7%となります。連続起業家は一度廃業しているわけで、その廃業理由が債務過剰による倒産であると、次に融資を受けるのは厳しいのが現状です。

つまり連帯保証で信用情報にペケがついてしまっている状態です。この点は欧米とは異なり、日本では一度の失敗が尾を引いてしまうのです。起業の意識が高い人間は起業を志すでしょうし、従属(サラリーマン)が心地よいという意識の人間もおり、どちらが偉いか、偉くないかではなくて、それぞれの役割があるということです。

起業家は雇用を生み出します。ですから、彼らをサポートすることは日本の経済に好影響を与えます(サラリーマンをおざなりにしていいというわけではありません)。最近、政府も重い腰を上げ、経営者の連帯保証をなくす方向へとかじを切りだしています。金融公庫も経営者の連帯保証を原則なくしております。その点、地銀の対応は遅れていると言えるでしょう。

また、ポートフォリオ起業家は、経営者としてのセンスは抜群でありながらも、所詮人の子、全て全企業に対して完璧にこなせるわけではありません。そこで彼らのメリットを生かすには、経営の補佐役が必要と報告では結論付けています。

経済学に比較優位という考え方があり、たとえ話ではアインシュタインは物理学を考えさせれば天才、掃除洗濯も召使よりもうまくこなす(とします)。その時に両方をアインシュタインがこなすよりも、掃除洗濯は召使に任せて、アインシュタインは物理学に力を発揮した方が、全体的に生産性が高まるという考え方です。

たとえ話ではアインシュタインの方が偉いじゃねえか、となってしまうかもしれませんが、人それぞれには役割があり、上下はありません。それぞれの役割を果たし、それらを尊重する姿勢が何より大切です。起業家に対する尊重の姿勢が若干足りないのが日本社会であります。特に借金を返せなくなった起業家に対して(中には起業家としてのセンスがなく、借金を踏み倒した奴もいるでしょうけれども)。


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