日本公庫コラム

大卒者が3年以内に3割が辞めているといわれています(厚生労働省「新規学卒者の離職状況」)。ゆとり教育が原因だ、飽きっぽいのは根性が足りない、とか色々言われていますけれども、それは本質を突いているのでしょうか。

受験勉強が終わってサークルで遊んでいて、大学卒業後就職しなければならないから、大学在学中に将来を決めろと言われて、やむにやまれず就職したのが最大の原因ではないでしょうか。しかも企業に就職したからと言って、将来が完全に約束されているわけでもありません。いい大学に入り、いい会社に就職。それは本当に当人が選んだ道なのでしょうか。本当に当人が望んだ道であれば、過労死という問題も起きないのではないかと思います。

一度きりの人生で、やりたいかどうかよくわからないけれども、ずっと続けるって難しい。でも日本の多くの人がそれに不平不満を抱えながらも、やり続けている、それだけでも十分に尊敬に値しますが、自分に嘘をついてまで他人に尊敬される人生なんて嬉しいですか。

そこで改めて、日本政策金融公庫総合研究所が2016年3月31日に発表した「20歳代開業者の実態と課題」を紐解いてみることにしましょう。

開業業種で多いものは「サービス業(26.2%)」「医療・福祉(22.3%)」「飲食店、宿泊業(16.0%)」の順に多くなっており、他の年齢層よりも高くなっています(ちなみに30~54歳では「サービス業(23.1%)」「医療・福祉(16.2%)」「飲食店・宿泊業(14.0%)」)。サービス業の中で多いのは「美容業」「エステティックサロン」、医療・福祉では「マッサージ」「訪問介護」、飲食店・宿泊業では「酒場・ビアホール」「日本料理店」となっています。

開業時の組織形態は20代では個人企業が67.5%、法人企業が32.5%となっています(30~54歳では個人企業58.5%、法人企業41.5%)。法人化すると会社設立費用がかかるだけでなく、会社の維持費(儲かっていなくても法人住民税等を支払う)がかかります。

開業動機は「事業経営という仕事に興味があった(53.9%)」「収入を増やしたかった(52.4%)」「自由に仕事がしたかった(49.0%)」「自分の技術やアイデアを事業化したかった(39.3%)」の順に高くなっています。経営(マネジメント)スキルというものは、英会話や簿記のスキルよりも重宝されると思います。

この中で「自分の技術やアイデアを事業化したかった」というのは非常に重要です。結構、単なる思い込み(自分の方が上手くやれるとか、自分のサービスは世に受け入れられる等)が多いものです。なぜ上手くいくのか、他社との差別化はどう図れているのか、それを第三者に理解して頂けるくらい十分にこなれたものであることが必要です。それを第三者に納得させるために、公庫融資を申請するのは一つの手だと思います。

若年層で他の年齢層と比較して弱い点は、自己資金の少なさでしょう。ちなみに20歳代の開業者の資金調達額は自己資金220.1万円、親兄弟等114.7万円、そして金融機関等からの借入は560,5万円。準備を始めた時期は開業の3~5年前(28.9%)からが一番多くなっています(1年前、半年は合計して30.4%)。しかし自己資金は準備万全を知らせるシグナルのようなものですので、十分に準備したいものです。

また、20歳代の開業者は他の年齢層と比較して早期に黒字化を達成しています。例えば月商「100~500万円未満」が50.8%(以下カッコ内は30~54歳:47.7%)。現在の採算黒字基調が74.5%(69.4%)、そして黒字基調になるまでの期間は0~3か月40%(31.2%)、4~6か月25.5%(25.1%)、7~9か月6.2%(7.7%)、10~12か月17.2%(21.0%)となっています。体力勝負の事業が多いこともあり、無理がきくことも一因かもしれません。

出所:日本政策金融公庫総合研究所「20歳代開業者の実態と課題」14ページ。

当然のことながら、起業はうまくいくことばかりでなく、失敗するリスクもあります。しかし失敗しても致命傷にならなければ、若ければサラリーマンとしてやり直すこともできるでしょう。そう考えますと、20歳代が最大の起業時期のチャンスと言えましょう。

ブラック企業っぽい会社にご在籍の方も、永遠にその会社に居続けようと思うから、お先真っ暗になってしまいます。この会社では〇〇のスキルを身につけるためにいるのだ、それが身についたらオサラバ、そして起業するぞ!そんな気持ちで会社を使い倒してやりましょう。すべては自分のためと思えば、どんなにつらいことも耐えられると思いますよ。しかも土日出勤も、早くスキルを身につける、所詮は自分自身のためと思えるようになります。


日本政策金融公庫の融資が通る可能性は?

創業資金
事業拡大資金
新規事業資金