
カフェはそれほど大きな規模や設備投資も必要のない業種です。それゆえ、競争相手がも多いため、あなたの店のコンセプトが重要になります。いわゆる差別化です。どうしてお客様があなたの店を選ぶのか。ではカフェの事業計画書を順を追って見ていきましょう。
1. はじめに
2. 目次
3. 内容
4. おわりに
1. はじめに
カフェは規模や業種によって多種多様な事業計画書が書けます。駅前に出店する場合やロードサイド型でも異なります。猫カフェ、犬カフェ、メイドカフェ、忍者カフェ、キャラクターを使ったカフェ等もあります。秋葉原に多種多様なカフェがあります。
しかしどんなカフェにしようと骨組みは変わりません。流れさえ押さえてしまえば応用も可能になります。ここでは高級住宅街の隠れ家的くつろぎカフェを例にとって作成してみましょう。
2. 目次
書くべきことを目次にすると次のようになります。
表紙
要約
(1) 店舗概要
(2) 事業内容
(3) メニュー
(4) 市場環境(市場分析)
(5) 競合優位性(競合分析)
(6) プロモーション戦略
(7) 予想収支表
(8) 設備投資
(9) スケジュール
(10) 会社概要・略歴
3. 内容
表紙
表紙は事業計画書の「顔」です。「カフェの事業計画書」だけだと普通の表紙になってしまいまして、その後表紙をめくる気にはなりません。ですから、「薬膳コーヒー事業計画書」みたいにコンセプトを感じさせるタイトルを付けましょう。「薬膳」と「コーヒー」ってどう一緒になるのだろうかと疑問に思わせられれば、次のページをめくってくれます。
要約
いわゆるサマリーです。A41枚に事業計画書全体に記載したことを要約します。当然のことながら、要約は最後に書きます。要約を記載してから、本文を書くと、本文の内容が薄っぺらになります。
例えば
「コンセプト」
薬膳コーヒーが飲めるカフェ。
健康志向のカフェ。
紅茶や日本茶も飲めます。
「背景」
ストレスを解消するため、仕事人の心と体のリラクゼーションを行う環境を提供する。
「事業目標」
初年度 年商6,300万円
「組織体制(人員計画)」
店長 1名
スタッフ 1名
アルバイト 若干名
その他「事業概要」「ターゲット顧客」「客単価・平均想定客数・想定月商」も記載しておきましょう。
(1) 店舗概要
事業名 : 薬膳カフェ
住所 : 東京都○区○○
事業内容 : カフェ
立地特性 : 高級住宅街の一角
乗降者数 : 最寄り駅と1日乗降者数を記載しましょう。
例えば、JR東日本であれば、次のホームページから調べることができます。
http://www.jreast.co.jp/passenger/
また、こちらには店舗レイアウトやイメージ写真を添付しましょう。
(2) 事業内容
ターゲット顧客 心と体のリラックスを求める会社員(20代~60代)
あるいは健康に気を遣う専業主婦。
事業概要 健康意識の高い人、あるいは健康に不安を持っている中年男女。
顧客サービス お客様の体調に合わせ、ハーブを調合したり、
お客様にカスタマイズしたコーヒー
(3) メニュー
メニューリスト
ハーブコーヒー、シナモンコーヒー、ミントコーヒー、レモンコーヒー、オレンジコーヒー、
ローズコーヒー、アロマコーヒー、薬膳カレー、薬膳サンドイッチ等
価格が決まっている場合には、価格も記載しておきましょう。
(4) 市場環境(市場分析)
「ターゲット市場の規模」
最寄り駅○○の1日の平均乗降者数は80,000人、半径2キロ圏内の人口総数は35,000人。
平日は専業主婦が多く、土日・祝日は近隣住民の来店が見込める。駐車場も確保することで車で来店する顧客も取り込んでいく。
「ターゲット市場における競合状況」
半径1キロ以内にカフェは10店舗あるが、特別なコンセプト展開をしている店はほとんどない。しかも駅前に集中。
「展望」
学生相手には低価格、サラリーマンの打ち合わせは高級店というように、周辺店舗は顧客を取り込んでいるが、街頭ヒアリング調査をした結果によれば(調査内容、調査人数、調査期間等を添付)、既存の店舗が普通のカフェであることや健康志向も感じない、チェーン店で特に特色がないことに、若干の不安を持っているため、コンセプト狙いの店で新規顧客の獲得は期待できる。
(5) 競合優位性
健康志向の女性を相手に、薬膳コーヒー、紅茶等をリーズナブルな価格で提供。
(6) プロモーション戦略
・住宅街へポスティング
・駅前でチラシの配布
・フェイスブックやツィッターの活用。
・来客にメルマガを配信してリピーター客の確保
リピート獲得のために、薬膳コーヒー1杯無料キャンペーンを展開。
(7) 予想収支表
【販売戦略】
【年次予想収支表】
(8) 開業費用・返済計画
こちらには金額とどんな開業費用(内装工事、設備工事、厨房機器、開業時仕入、消耗品、備品)がかかるかを記載します。
店舗取得費には、月額1か月分の仲介手数料、保証金、1か月分の前払家賃を合計して記載しています。
また、その他には「広告宣伝費」「初期仕入代」「備品(皿、調理器具等)」と記載します。
工事代金や厨房等、いわゆる設備投資には、業者の見積もりを添付しましょう。
開業費用のうち、自己資金を360万円とし、残りの440万円を金融公庫から借り入れ、5年で返済するという計画を立てました。
【返済計画】
(9) スケジュール
工事業者との折衝、工事開始日、工事終了日等、店舗開始までのスケジュールを記載しておきましょう。
(10)会社概要・略歴
会社概要としては、商号、代表者名、本店所在地、資本金、連絡先(電話、FAX、メール)、
ホームページ、設立年月日等を記載します。
また、略歴とは代表者の略歴のことです。アピールしたい職歴を、カフェ屋での経験も踏まえて記載しましょう。
4. おわりに
カフェ店は料理の味もさることながら、「コンセプト」が重要です。コンセプトとは、どうして自分があなたのお店に行くのかの理由です。しかし、あまり味に奇抜さがありすぎると頻繁に訪れる気にはならないため、飽きない味と心地よさを保つことのできるコンセプトの「バランス」が大切になります。
健康ブームにのって、飲むだけで健康になれる、あるいは飲むだけでダイエットできるというコンセプトは、時流に乗っていると言えます。
このように時流に乗ったコンセプトを見つけ出すことが何より重要です。